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同級生の寺泊満と山鳥芽衣は、偶然同じ町に住んでいることを知り、二十数年ぶりの再会を果たす。
しかし二人には盛り上がるような思い出もなかった。
語り合ううちに、お互いに奇妙な問題を抱えていることが分かってくる。
寺泊はある手品師との出会いによって、世界の見え方が変わり、妻が別人のように思えてくる。
新しい目を手に入れたと自負する寺泊は、仕事でも逸脱を繰り返すようになる。
芽衣は品名に「無」と書かれた荷物を受け取ったことで日常が一変する。
無は光の届かない闇として物理的に芽衣の生活を侵食し、芽衣の過去を改変していく。
二人にとって、この世界は秩序を失いつつあった…。
Work in progress : 進行中の作業を意味し、ここでは創作の過程を公開することを指しています。
イキウメ「外の道」。
当初2020年5月28日から初演上演を予定しておりましたが、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言を受け、1年後に公演ということで初日を延期しました。
その間、創作をワーク・イン・プログレス（W.I.P）に移行し、遠回りして作品の深堀りを続行しました。
先ずは、公演するはずだったお客様のいない劇場で、創作の途中までを記録し、作っていたものをなるべくそのままに、素材感を残したままオンラインで公開しました。
演劇が成立するための条件→ 俳優と観客がいること。
ですが、お客様がそこにいませんので、「いると成立しないもの」を探ってみよう、という意図もありました。
W.I.Pを観ていただいた方のお声を聞いて、そこで感じたものや、そこから発酵していくものを待ちながら、順次公開することにしました。
キャストとスタッフが定期的に集まり、その中で始めたのが「金輪町（こんりんちょう）ミーティング」です。
これはイキウメ作品の舞台になっている「金輪町」を、W.I.Pでビジュアル化してみたことがきっかけになりました。
関わってきた作品の記憶をたどり、地理的な地図やジオラマに起こして、物語世界をWEBで展開しました。
外側に手がかりがなく、時間だけたくさんありましたので、足もとを掘っていくことが面白くなり、「金輪町の取材と調査をする」というイキウメ・スタディを始めました。
再発見していく「金輪町」について上演してみたい、という流れになりました。
短篇・長編の一部・落語の公演など全体を11作品に分けて、緊急事態宣言下の東京での上演。
松岡依都美さん、瀧内公美さん、柳家三三師匠とともに、2か月の稽古場を経て、21年2月、シアターウエストで元気に実施しました。（金輪町コレクション）
同時に「外の道」を、更地に戻してからまた始めました。
1年前と同じキャスト・スタッフ、お待たせしてしまいましたお客様と共に、この時間が刻印された作品を再生できることを願いました。
中止公演から1年後の、2021年5月28日初日。
初演を予定していた東京・大阪・豊橋・北九州で、
今・ここ、としか言いようのない「外の道 Ⅱ」が現れました。
それを御覧になったパリ文化会館より、2022年秋のフェスティバル・ドートンヌ・ア・パリのプログラムとしての招へいを受け、 「À la marge（外の道パリ公演）」を、現在鋭意準備中です。
イキウメ （2022/09/12 updated）
前川知大（作・演出）、浜田信也 安井順平 盛隆二 森下創 大窪人衛 / 池谷のぶえ 薬丸翔 豊田エリー 清水緑（俳優）、谷澤拓巳（ドラマターグ）、坂田厚子（制作）、中島隆裕（プロデューサー）、今村あずさ（衣裳）、西川直子（ヘアメイク）、下司尚実（ステージング＆トレーニング指導）、佐藤啓（照明）、青木タクヘイ（音響）、土岐研一（美術）、かみむら周平（音楽）、大澤遊（演出助手）、鈴木成一（宣伝美術）、岡﨑乾二郎（アートワーク「ぶっきーさん」1997）、田中亜紀（写真）、ウラモトユウコ（画・金輪町）、かざまりさ（画・観光協会マップ）、吉實恵（画・GALLERY）、鈴木三枝子（音響操作）、溝口由利子 櫛田晃代（照明操作）、宍戸円 谷澤舞（制作部）、木内賢（WEB）、油谷真一 浜田和枝（撮影収録）、阿部のぞみ（字幕）
助成：公益財団法人セゾン文化財団
ご協力ありがとうございました→東京芸術劇場（シアターイースト）、白水社、清水葉月、中村まこと 、岩本幸子、伊勢佳世、村川絵梨、松岡依都美、市川しんぺー、東野絢香、橋本ゆりか、揮也（敬称略）
